市議会議員選挙の無投票当選
無投票当選(むとうひょうとうせん)とは、選挙において立候補の届け出者数が定数を超えなかった場合に、投票が行われずに候補者が当選する状態を指します。
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法律的には
公職選挙法第100条で、無投票当選を規定しています。公職選挙法第151条の2・第171条の規定によって、無投票当選となった場合は、政見放送や選挙公報の配布は行われません。
地方自治法第84条では、地方次事態におけるリコールは通常の選挙による当選の場合について選挙後1年間はリコールは出来ないという規定がありますが、無響票の場合は当選翌日からでもリコールが可能であるという但し書きがあります。
無投票当選の実情
無投票当選となる場合は、地方の県議選や市町村長選などで、現職に対する有力なライバル候補が不在によって起こっています。
また、小規模な市町村においては、集落ごとに事前に候補者調整が行われることにより、結果的に無投票となることも多く、新人の立候補の動きをみて現職が事前に候補者を抑え込んでしまうこともあります。
その一方で、ライフワークとして「無投票阻止」を理由に出馬する政治運動家が活動する地域では、無投票当選は起こることはないが極端な「無風選挙」が連続することとなり、有権者の意識は向上しません。
ただ、多くの選挙区では、日本共産党が候補を擁立しているため、無投票となることはあまりありません。
また、一人でも定数を超えると選挙が行われることから、全国的な定数の削減を背景に無投票当選も少なくはなってきている地域がある一方、過疎化が進む地域では立候補者が定数を上回らずに無投票当選となるケースが増えてきているという、二極化が進んでいます。
無投票当選の問題
定数の削減により無投票を阻止していることがある一方で、地方都市の無投票当選は深刻な問題を抱えています。
2015年に行われた統一地方選挙は、都道府県議会議員の2割、市長の3割、町村長の4割が無投票当選しています。
選挙に関しては、行政や立法の担い手を有権者が選ぶという民主主義の根幹にかかわることですので、民主主義を実現する目的を果たすためには、選挙は欠かせない要素です。
しかし、有権者によって選ばれることなく、立候補の意思だけで無投票当選で決まってしまうと民主主義のもくてきは果たせません。
立候補者数が定数を超えなかったということは、他の候補者がいないということで信任されたとみなす考えもありますが、苦しい言い訳程度にしかなりません。
無投票当選したら
選挙に臨む方にとって無投票で当選することは、落選することがなくなったためにホッとするかもしれません。
しかし、深刻な問題を抱えている無投票当選ですが、立候補を決意し選挙に臨んだ結果に無投票当選したら、胸を張って議員として活動することは悪いことではありません。
選挙が行われ投票によって信任を得たわけではないにしろ、無投票当選した翌日にリコールする制度があり以上、不信任されているわけではないのですから。
無投票当選した議員は、次の選挙で不信任を突き付けられないためにも、地域にとって有益な施策を実現していく使命があることを強く心に秘め、活動していくように心がけましょう。