政策研究会の設立
目次
政策提言として
政策の研究そのものを政策とするという一見理解しがたい内容かもしれませんが、地域住民の意見を反映するのにとても有効な政策です。
地域住民と共に政策を考える環境を作ることは、行政と地域住民の意見のすり合わせを行うことが出来、地域住民の代表としての議員の本来の役割を果たすことが出来ます。
この政策の最大の利点は、地域住民が直接政策つくりに参加することで、自己中心的な意見を言うのではなく、地域全体を考える機会を与えることで、地域住民の意識を変えていくことが出来ます。
背景
- 条例作成において住民参加は不可欠な要素
- 地域住民が地方政治へ関わろうとしない
- 住民は将来になんとなく不安を感じている
- 住民は不満を感じるまで政治に興味がない
- 地域住民の投票率の低さが目立つ
根本的な原因
- 有権者が地方自治の仕組みを知らない
- 地域住民が地方政治への関わり方を知らない
- 議員や行政が普段何をしているのか知らない
- 知らないから不安を感じる
- 地方政治を身近な存在として感じていない
質問と提言例
国政選挙においても、地方議会選挙においても、投票率は低い時には50%を下回るほど地域住民の選挙における投票率の低下は年々下がっている印象を受けますが、地域住民が政治に関しての興味が薄れていることが原因だと思われます。
地域住民が政治に参加しない状態が続いていくと、住民参加が不可欠である条例作成が地域の実情とかけ離れる恐れがあり、このままでは民主主義の根幹が揺らいでしまうと感じます。
地域住民は、多かれ少なかれ将来に不安を感じている人が少なくありませんが、それは普段の行政の在り方や政治に関して何も知らないから不安を感じているのではないでしょうか?
行政が一生懸命地域住民のために普段の業務を行っていても、地域住民に理解してもらえなければ、ただただ不安と不満だけが募っていくだけになってしまいます。
そもそも何故地域住民に不安が広がってしまうのかというのは、地域住民が地方自治の仕組みを知らず、地方政治への関わり方を知らないことが根本的な原因だと思われます。
地域住民が不安や不満を感じる瞬間というのは、「結婚して子供が生まれた」「子供が学校に通うようになった」「親の介護が必要になった」「自然災害が起きた」など、実際に問題に直面した時に自分自身に降りかかることとして認識した時だと思います。
地域住民自身に直接関わりのある題材に関しては興味が湧きますが、普段の生活の中では行政や議員がどんな活動を行っているかを知る機会もなく、「何をしているのかがわからない」ということは住民参加が上手くできていない現状が原因だと考えます。
そこで、住民の意識を変え参加しやすい環境を構築し提供することは、民主主義の根幹を確かなものにする良い機会だと考え、政策を地域住民と共に考えていくことが出来る研究会のような場を作ってみることが有効であると考えます。
個々の議員の活動や地域住民の自発的な行動に委ねるのではなく、行政側が各自治体で座談会や研究会の設置を促し、意見を集約する環境を整えることが重要だと考えます。
集会所となる場所の確保と提供、地域が抱える課題と解決に向けた取り組み方法について今後どのような対策を講じることが出来るのかを質問させていただきます。
地方自治とは
地方自治は、地域社会の住民が、その地域の住民の日常生活に直接つながる身近な問題を解決して、住民の利益や幸福を守るために住民自らの手によって政治を行うことを言います。
住民は地方自治法を通して、政治に関心を持ち、政治に参加し、政治の経験と訓練を積むことが出来ることから「民主主義の学校」とも言われています。
◇地方自治の単位
地方自治を行う機関を地方公共団体といい、地方公共団体は3つに分類できます。
- 普通地方公共団体:都道府県や市町村
- 特別地方公共団体:東京23区
- 政令指定都市:都道府県から独立している5o万人以上の都市(実際には100万人以上の都市が多い)
◇地方公共団体の仕事
憲法第92条で、地方公共団体は国から独立した団体であり、固有の権限を持って地方政府としての自主性と独立性が保証されています。
しかし、国の下請け的性質が強かったために、1999年に地方分権一括法が制定、翌2000年に施行され機関委任事務は廃止されたことで、地方自治体が国と対等の立場で仕事が出来るようになりました。
- 地方税の徴収
- 学校・図書館・体育館などの設立と運営
- 住宅・保育所・老人ホームなどの設立と運営
- 病院・保健所などの設立と運営
- ゴミの収集や処理
- バス・電車・上下水道などの運営
- 道路・公園・橋などの建設や河川の改修
- 防犯・安全・消防など
- 戸籍・住民登録・国会議員選挙・生活保護など
◇地方自治体の仕組み
地方自治は、議決機関と執行機関からなります。
①議決機関
国に国会があるように、地方公共団体にも住民の意思を代表する議決機関として、都道府県議会と市町村議会の地方議会があります。
議決機関の構成について、4年任期の議員は、25歳以上の住民の中から、人口に応じ比例して決められた定数を住民の直接選挙によって選びます。
- 条例の制定や改正・廃止
- 予算の議決や決算の承認
- 地方税・手数料・使用料の徴収
- 首長や行政委員会の仕事を監督し調査する
②執行機関
国で言う内閣に相当する、議会で決めた方針に基づいて政治を行う執行機関として、 首長と補佐機関があります。
首長については、都道府県の知事は30歳以上、市町村長は25歳以上の者が資格を有し、共に直接選挙によって選ばれ、任期は4年です。
- 議会に予算・条例案を提出する
- 議会の決定した議案・予算・条例に従って、地方行政を行う
- 地方税を徴収する
- 議会の招集と解散
- 地方公共団体を代表して国との交渉を行う
- 地方公共団体の職員を指揮・監督する
補佐機関に関しては、都道府県が「副知事」と「会計管理者」、市町村が「副市長村長」と「会計管理者」があります。
◇地方行政委員会
首長に全ての行政の仕事が集中して行政の民主的な運営が妨げられないように、様々な行政委員会が設置されています。
- 教育委員会:学校の設置・運営に関する仕事をする機関
- 選挙管理委員会:国会と地方議会の選挙に関する仕事をする機関
- 公安委員会(都道府県):警察を監督する機関
- 人事委員会:地方公務員の採用や給料の管理、労働条件のチェックなどをする機関
- 監査委員:地方税が正しく使われているか監査する機関
他には、農業委員会(市町村)、地方労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁業管理委員会、固定資産評価審査委員会などがあります。
◇首長と議会の関係
首長と議員は共に住民による直接選挙で選ばれていますので、議会と首長は対等の関係にありますが、住民の自治の原則を守るために、互いに牽制し合う仕組みになっており、対立する時の手続きには3つの場合があります。
①首長が条例や予算などについて、議会の議決に反対である場合は、10日以内に拒否権を行使して、議会に審議をやり直すように求めることが出来る再議請求がありますが、再審議でも議会で出席議員の3分の2以上を持って再議決されると議決は確定します。
②議会を招集する時間的余裕がない場合や、議会が議決をしない場合は、首長が自分の責任で議案を決めて実施することが出来る専決処分がありますが、後に議会の承認を得る必要があります。
③議会は、首長の政治方針に反対であれば、不信任決議をすることが出来ますが、首長の不信任決議は、総議員の3分の2以上が出席した議会で4分の3以上の賛成が必要です。不信任が決議された場合は、首長は辞職するか10日以内に議会を解散することが出来ますが、解散しない場合や、解散後初めて召集された議会で、再び不信任の議決があった時には首長は失職します。
◇住民の権利
地方政治は身近な問題であるために、住民には選挙権だけでなく、住民投票権と直接請求権が保証されています。
選挙権は、18歳以上でその地域に住民登録してから3ヶ月以上経過している場合、知事・市長村長・地方議会議員を選挙する権利を持っています。
住民投票権は、住民は自分の住んでいる地方だけに関係のある特別法という法律が国会で作られる場合、住民投票で賛否を決める権利を持っていますが、住民の過半数の賛成がないと法律として制定できません。
直接請求権には、住民が地方公共団体で重要な職についている人を辞めさせるリコールと、住民が地方自治に関することを提案するイニシアティブの2つがあります。
住民は一定数以上の署名を集めることが出来れば、地方公共団体に次のことを求める権利を持っています。
- 首長・議員の解職請求
- 議会の解散請求
- 条例の制定・改廃の請求
- 首長の仕事についての監査請求