選挙までの事前運動
公職選挙法の観点から見れば、選挙前に行う事前活動は3種類あります。
それは、「後援会活動」と「政治活動」と「選挙運動」なのですが、公職選挙法で禁止されている事前活動は「選挙運動」を指します。
目次
政治活動と選挙運動の違い
政治上の目的をもって行われる全ての活動を政治活動といいますので、広義としては、選挙運動も政治活動の一部と言えます。
しかし、「政治活動」と「選挙運動」は行為として大変よく似ていますが、公職選挙法では政治活動と選挙運動を明確に区別しています。
選挙運動
特定の選挙について、特定の候補者(被選挙人)の当選をはかることを目的に有権者(選挙人)選挙人に働きかけることを、選挙運動期間中のみ認められています。
ちなみに、ネガティブキャンペーンやイメージダウン戦略といった、相手候補者を当選させない活動も選挙運動として認められています。
政治活動
政治活動とは、政治上の目的をもって行われる一切の活動のことですが、狭義としては選挙運動にわたる行為を除いたものを指します。
公正な明るい選挙を実現するため、選挙運動には公職選挙法で様々な規制がなされていますが、政治活動には必要最小限の規制のみが行われます。
これは、日本国憲法において国民の思想・信条・表現の自由が保障されているためです。このため、規制がかかるのかを考えるときは、その行為が選挙運動に当たるのか、政治活動に当たるのかが非常に重要になります。
後援会活動
後援会活動は政治活動の一種ですが、選挙前に行える事前活動としては後援会会員の勧誘活動が主な活動となります。
後援会では勧誘以外の活動を行う場合、政治活動を逸脱した選挙運動とみられてしまうことも少ないようで、後援会活動ではパンフレット片手に「後援会に入りませんか?」といった活動しか実質出来ないようです。
しかし、後援会活動の中でも有効な手段はありますので、後援会を設立する価値は十分にあります。
事前運動
選挙告示前、立候補の届け出前に特定の候補者への投票の呼びかけを行う選挙運動は事前運動と呼ばれており、公職選挙法で一切禁止されています。
しかし、政党の公認を求める運動や、党員の立候補をすべきか否かを決めるために有権者の反応を探る行為、候補者の立候補準備行為、議会報告会、後援会活動、社交的行為に関しては禁止されていません。
ただ、これらの行為は政治活動なのか選挙運動なのかの区別ははっきりとしているわけではなく、判断が難しいところです。
地域による誤差
基本的には事前運動が公職選挙法で禁止されていることは全国共通なのですが、政治活動になるのかという判断は地域の選挙管理委員会によって異なるようです。
これは、その行為の解釈が地域によって異なるために起こるようです。
とある地域で、後援会活動のためにA4サイズのパンフレットを作成したところ、「後援会活動に使用するパンフレットは、この地域では昔から三つ折りのはがきサイズのみ認められています。」として、A4サイズでは後援会活動が出来ないといった事例がありました。
「ほかの地域では認められている!」と選挙管理委員会にかみついてもあまり良いことはないので、細かい点に疑問を感じたらすぐに選挙管理委員会に相談してみる方が無難です。
選挙管理委員会は、選挙に関するルールを守らせることが仕事なので、しつこいくらいに質問しても必ず対応してくれますよ。